人生後半戦の働き方

50代60代の働き方を、自宅を起点として働くこと、在宅ワークで働くこと、どのように働くかということを前回まで取り上げました。今回は「時間軸」を基準にして考えてみたいと思います。



人生後半戦の働き方をタイムラインで考える


3通りの時間軸で考える

時間軸には「人生という時間軸」「1日という時間軸」「何時間という時間軸」があります。人生100年時代といわれる昨今ですが、人生のゴールを平均年齢と考えて80代とします。1日は時間帯で考え、そのうち何時間働くかを考えてみます。

1本の直線で考える

現在の年齢から80代までを1本の直線で考えて、50代・60代・70代・80代と大きく分け、さらに前半と後半に分けます。(下図参照)現在の年齢のに「●」をつけて職業と働く時間帯・時間数を書きます。例えば「55歳・サラリーマン・9時-17時・7時間」と記入します。「サラリーマン」の部分は自由に考えてください。副業を行っている場合は並行してもう1本引きます。

引退時期を考える

現在時点の働き方を記入したら次は働くことを辞める時期に「□」を記入します。75歳で働くことを辞めるのであれば「75歳・引退」と記入します。働けるまで働きたいと考えるのであれば、80歳に「□」を付けてください。先のことはわかりませんが、どこで、どのような働き方を考えるには定点が必要です。計画ではなく考える上での定点です。

定年退職と雇用延長

組織によって定年制度と雇用延長制度が異なりますので、現在の時点で分かっている定年年齢と雇用延長修了時期に「●」を記入します。仮に60歳定年で65歳までの雇用延長制度がある場合は、下図のように定年時の勤務時間について記入し、さらに雇用延長時の勤務時間について記入します。最後に準備期間が必要ですので「定年・雇用延長・引退」に向けて「□」と矢印を記入します。

働き方時間軸-2



65歳以降の人生を想定して働き方を考える


準備は自分で行う

「●」は自分では決められないこと、「□」は自分で決めたことです。例えば定年年齢は決まっていますが、定年に向かっての準備期間は自分で決めなければなりません。雇用延長の条件を週3日と決めるのも自分です。組織の状況や自分の経済状態、健康状態を考慮して決めます。さまざまな制度が変わりつつあるので、準備期間は3年くらい前から行う必要があります。

副業と雇用延長後の準備

副業を行うのであれば副業線を新たに記入し、定年・雇用延長・引退を考慮して準備期間を設け、「年齢・副業内容・時間帯・時間」について記入します。副業も準備も本業と並行して行うことになるので、時間帯と時間数を考えて進めなければならないことがわかります。定年前に自由な時間が増えてもやることはあるのです。

辞めたいけれど辞められない

雇用延長期間が終わった後も人生は続きます。この時に働くのか、働かないのかも考えなければなりません。60代のシニアが働く時に何を重視するかという調査があります。電通総研の資料では男性は「経験重視」ですが、女性は「収入重視」です。日本政府金融公庫総合研究所の資料では、男性しかありませんが「収入重視」が飛び抜けています。つまり「本音は働くのを止めたいが、収入のために辞められない」というのが現状です。

参考:2015年7月2日電通総研、「シニア×働く」調査を実施

参考:2017年7月31日 日本政府金融公庫総合研究所
「働くシニア世代、支える中小企業」


65歳以降の人生を考える

65歳以降に働いている自分の姿を想像することができるでしょうか。65歳以降にどのように働いているかは65歳になる前に準備を始めなければなりません。成り行きで働くことができるかもしれませんが、職業職種の選択は限られるでしょう。人的労働力を提供する職業職種が65歳以降の主な労働市場となります。基本的な人力を要する職業職種で、年功序列が通用しいない職業職種です。



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少子高齢化社会と労働力人口の不足、そして高齢者の労働市場への参加が考えられている一方で、AI(人工知能)・ロボット・センサーなどが労働力市場にも投入されます。また労働力自体が不要になる社会としてBI(ベーシックインカム)という経済体制も考えられ、少子高齢化社会に対応しようという案もあります。

AIやBIがこれからの働き方に大きく影響するとしても、少子高齢化社会に対応できるとは思えません。AIやBIは社会全体に影響を与え、働くこと自体の考え方も変化していくと思います。なんのために働くかというモチベーション自体が変わるのではないでしょうか。

これからはワークシフトやライフシフトに加えて、さらに根本的なモチベーションシフトが必要になってきます。またAIとBIの他にも、MI(マニュアル・インダストリー)も考えることができます。手作業、手工業、人的産業という意味です。65歳以降の高齢者の仕事こそ、時間と場所にとらわれない「MI」と「モチベーションシフト」を考えることで、少子高齢化社会に対応できる働き方が可能になると思います。