ミニマルビジネスという仕事と働き方 #6 組織への所属と参加の違い

組織に所属しながら

50代60代にとって組織に所属しながら個人で仕事をするということが雇用延長と共に話題になっています。副業・兼業・起業という考え方です。前回の個人経営という考えと併せて今回はお話ししたいと思います。



組織管理と組織経営、個人管理と個人経営


セルフマネジメント

「個人経営」とは「仕事と働き方において自分で自分自身を経営する意味」だと前回お話ししました。自分で自分自身を管理すること」を「セルフマネジメント」と言います。経営も管理も英語ではマネジメントと訳されますが、どちらも正しくまたどちらも正確ではありません。

組織マネジメント

組織として仕事を行い、組織の中で個人が働く時には、個人が組織に所属するという考え方を持ちます。組織が行う仕事の目的を個人が担うことになりますので、組織管理とは組織が個人を管理する考え方です。また、組織を個人と分離して組織がどうあるべきかも組織管理の意味するところですが、この意味では組織マネジメント(組織経営)という言い方が多いように思います。

個人の管理方法

組織管理では複数の働く人がいるので同じ方向に向かうようにコントロールしなければなりません。個人で働く場合は基本的に1人で働くことが前提になるので、同じ方向に向かうという管理方法は必要ありません。必要なのは個人の管理ではなく個人経営という考え方です。

個人経営と個人事業

「個人事業」は個人で事業を行っていること、すなわち個人で仕事を持ち働いていることを意味します。個人事業主は法人に対して使われ、主に税法上に関わるときに使われます。個人で仕事をしている個人事業でも、組織と取引することもありますし、組織に参加して仕事をすることもあります。「個人経営」は組織に所属していても行える考え方です。




個人事業は仕事と働き方、個人経営は仕事の目的


個人事業と個人経営

一般的に個人事業と個人経営はほとんど同じ意味で使われています。個人事業はビジネスの業務内容を指し、個人経営はビジネスの目的・方法を指します。例えばレンガ職人の話はよく知られています。

3人のレンガ職人の話(概要)

旅人が訪れた街でレンガ積みをしている3人の男に「何をしているですか?」という同じ質問をした。1人目は「見ればわかるだろ、レンガを積んでいるんだよ」と答えた。2人目は「家族を養うために働いている、カネを稼いでいるんだよ」と答えた。3人目は「多くの人が集まり祝福される大聖堂を建てているんだよ」と答えた。

個人事業として考える

仕事の内容はレンガを積むという作業です。見方を変えて考えるために例えばの話を付け加えます。

1人目は3人の中で一番正確に速くレンガを積むことができました。2人目は正確に積むことはできましたがレンガを積むのに時間がかかりました。3人目は正確さも速さも3人の中で一番劣っていました。事業として考えるのであれば1人目のレンガ積みの男が最も優れているでしょう。

個人経営として考える

もし賃金が出来高制であれば一定の時間内では1人目が優秀ですが、時給制であれば一番生きがいを持って働いている3人目が満足度が高い働き方をしていることになります。個人経営として考えれば、1人目が出来高制、2人目は時間制限がなければ出来高制、時間制限があれば時給制、3人目は時給制を選ぶことで賃金面の満足度は得られます。 

個人経営が重点を置くこと

組織経営では組織効率を上げながら働いている個人の満足度を追求します。個人経営では、仕事の効率と満足度は自分が決めることになります。お金を稼ぐということを目的にするのであれば、お金を稼ぐことに最適化して働くことになります。社会的成果を目的するのであれば、社会的認知度に最適化して働くことになります。 最適化するのは他でもない自分自身です。





実際には個人事業における個人経営は仕事の効率と満足度のバランスを取りながら行うことになります。個人経営における「自分で決める」という意思決定は、セルフマネジメントに最も重要なことです。

自己管理は自分を客観的に見ることで可能になりますので、自分で自分自身を使うことを想定することで可能になります。自己経営は自分で自分自身の意志の指標である満足度を考えますので客観的というよりは主観的に考えることになります。

自己管理をセルフコントロール、自己経営をセルフマネジメントと置きかえると分かりやすいかもしれません。50代60代になるとセルフコントロールはできても、上記の意味でのセルフマネジメントができていない人が多いのではないでしょうか。働くことの満足度ではなく仕事の満足度です。 

50代60代に組織の一員として働いていても、組織との関係を所属という雇用関係ではなく、参加という組織対個人という関係で考えることによって、定年制度がある中でも副業・兼業・起業の足がかりとなる考え方ができると思います。

ミニマルビジネスという考え方の中心にあるのが自己管理と自己経営、セルフコントロールとセルフマネジメントです。