統計からみた我が国の高齢者 ~ 仕事と働き方(2)
9月16日に総務省統計局から「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」というトピックスが発表されました。前回に引き続きこの資料を下に考えてみたいと思います。


高齢者の仕事と働き方が変わったのは


高齢就業者数 807万人

「(65歳以上の)高齢者の就業者数は、14年連続で増加し、807万人と過去最多」となりましたが、この統計が発表された2017年の就業者総数は6530万人、15歳~64歳の就業者数は5724万人です。2013年頃から増加しているのがわかります。

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2103年に何があったか

2013年4月から段階的に年金受給資格の引き上げが開始されました。これに端を発したかのように、労働契約法が改正され一定の条件の下で「無期労働契約」という雇用形態が義務付けられました。同じ時期に高年齢者雇用安定法の改正も行われ「継続雇用制度」などの導入も義務付けられました。

高齢就業者数が増えたのは

このような状況下の中で、年金収入を見込めなくなった60歳以上の対象者が労働市場に流れ込むことによって、これに引きずられるようにして高齢就業者数が増えたと考えられます。つまりもっと仕事をしたい、もっと働きたいという自発的な理由で大幅に高齢就業者数が増えたのではなく、制度改正によって増えたと考えるべきでしょう。

高齢者の仕事と働き方

高齢者の働き方には2通りあります。1つは既存の仕事で働き方を変える方法です。例えば、同じ会社の系列で契約社員・パートとして働くなどの方法です。もう1つは、違う会社または業界で新たな条件で働く方法です。例えば、異業種に転職、独立開業という方法もありますし、働き方も正社員・個人事業・契約社員・パート・アルバイトと様々な方法が考えられます。




高齢就業者は労働集約型の仕事に


産業別と労働形態

産業別に高齢就業者数が多いのは卸売業・小売業で125万人となっています。スーパーなどで高齢者の方が働いているのを多く見かけるようになりました。労働形態は非正規職員の職員・従業員が全体の74.4%を占めています。非正規職員になる理由は労使双方にあり、必ずしも雇用主側の都合ではないと思われます。

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労働集約型の仕事と働き方

非正規職員として従事するのは労働集約型(人間の労力が中心)の仕事と働き方が多く、過去の経験や知識を必要としないのが特徴です。したがって自ずと高賃金にはならずに低賃金の仕事が多くなります。同じ労働集約型の仕事でも専門職は高賃金を得ることができますが非正規職員・従業員という労働形態ではありません。

年齢制限がなくなる一方で

年金受給までのつなぎ仕事であれば60歳~64歳の就業者数が増えるのは当然です。ところが時期を同じくして65歳以上の高齢者の就業者数も増えたのは、労働条件に年齢という制限が少なくなってきたからだと思われます。一方で高齢者の仕事が限られているのは過去の経験や知識を必要としないことと、就業者自身が働く条件に短時間・短期間を望んでいるからではないでしょうか。

短時間・短期間・ストレスなし

高齢者が望む就業条件にはいくつかの個人的条件が考えられます。体力的に長時間労働はできない、介護があるので固定時間の労働ができないなどの理由で「短時間の労働」を望むと考えられます。

健康不安があったり、旅行や趣味の時間も持ちたいなど、自分の時間を多く持ちたいという人は「短期間の労働」を望むでしょう。また、過去の知識・経験を活かしたい、人間関係に気を遣いたくない、好きなことをしたいというように「ストレスばない労働」を望むと考えられます。




人生後半戦の仕事と働き方を考える


短時間・短期間・ストレスなし」というのは働き方、すなわち労働条件であり仕事の内容ではありません。仕事の内容というのは業種や職種です。過去の経験や知識を生かすとしても新しい経験や知識を得ることは避けられずストレスがないとは言いきれません。

すべての高齢者と一括りにしてはいけないのですが、現状維持・前例主義・時間労働という考え方が高齢者の労働観にはあるように思います。確かに昭和の中期、高度経済成長からバブル景気まではこのような考え方が中心でした。

現在から未来にかけて、日本の人口は減少し、労働集約型の仕事が少なくなり、時間労働はAI・ロボットに変わっていくでしょう。高齢者という年齢によって分けられるのではなく、できる人・できない人という分け方に変わらざるを得ません。

未来を考えながら、さらに自分たちが生きている間にどのような仕事と働き方をするべきなのか、65歳以上の高齢者という考え方ではなく、50歳以上の「人生後半戦の仕事と働き方」としてどのように考え、どのように行動していくかが大切だと思います。